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エチオピアでの医師活動(医学部留学)

Doctor in Ethiopia : Expensive gifts will not help Africa

アフリカを救うのには、高価な贈り物はいらない

 カレル・ウルバーシェック(写真上)はマサリク大学附属病院の小児科で勤務している。

 チェコ国内では保健医療について、多くのことを言われているが、カレル・ウルバーシェックは医学部博士課程の学生とエチオピアに三週間の研修に行き、アフリカで全く次元の違う経験をし、チェコに帰国した。

医師として海外で医療支援、または医療活動をしようかと考える人は多いが、積極的に行動をおこす医師は少ない。しかし、彼の大学の同級生はDorraという組織を通じて、非営利団体アドラと一緒に数年前からアフリカに行っている。

「私は自転車やマラソンのように、どんな状況においても、全力で取り組むのが好きです。まるで冒険に出る前のような心境になります。」と小児整形外科医の外傷学の専門家として働いているウルバーシェックは話す。

 

けがの治療を十分に受けられない子供や先天性欠損症の患者は世界中に多くいる。「時に医者は今まで何を勉強してきたのかという疑問に突然苛まれる時がありますが、アフリカでの経験を通して、医師を必要としている場所は、世界中どこにでもあることに、改めて気づかされました。」とウルバーシェックは説明する。アフリカ人患者の喜びと感謝から彼は大きな満足を感じ、再びアフリカに渡航することを計画している。

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「自分の周りには長い間放置された治療を受けられていない患者が見えました。ある男性は病院に5ヶ月間骨折したままの状態で放置されていました。」とウルバーシェックはアフリカでの体験を語る。

 

エチオピアの医療事情は本当に違っていた。中央病院にもかかわらず、わずかなスタッフしか働いていなかった。チェコ人医師の滞在が知れわたると地元民からは熱烈な歓迎があった。しかし、小児科整形外科が専門であるウルバーシェックが手伝いに来たことを病院経営者に伝えると経営者はあまり歓迎する姿勢を見せず「全てが上手く機能しているので、あなた方の手伝いは必要ありません。」と言われた。それにも関わらず、周りには長い間放置された未治療の患者が見えた。ある男性は病院で5ヶ月間骨折したままの状態で、病室に放置されていたのである。

現地の病院経営者からはあまり歓迎されなかったが、ウルバーシェックは同僚と共に自分たちで患者を診ることにした。チェコから医者がやって来たという情報は、すぐに現地の人々の間に伝わった。できるだけ多くの患者を治療するため、多くの時間を病院で過ごした。「私達は患者を手術するとき、手術後、金属部品を外に取り出すことが必要にならないよう努力しました。しかし、現地では、それを誰もが行っているとは考えにくい状況でした。」とシャーマンに足の骨折を治療してもらった女性を再治療したウルバーシェックは語った。
エチオピアの病院では、大学の医学課程を修了した本当の意味で医師と呼べる存在は少ない。その結果、実際に医者の社会ではよく論議されていることだが、少なくともチェコでの外傷学の経験からウルバーシェックは、エチオピアの患者は医療の質については、ほとんど関心を持っていないという現実を知った。「歴史あるシャーマンを神のように信じている現地民の心を理解し、そういった人々にも思いやりを持って接することが大切です。同時に、彼らはこの状態を誰にも壊されたくない、現状を改善したくないという人もいることを理解しなければいけません。」直接現地の患者を診察することで、貴重な経験をしたウルバーシェックはそう述べる。エチオピアでの経験を伝えることは、一つの重要なミッションだと彼は考え、医学生や医療スタッフのために講義をすることに努めている。

十分な治療を受けることが出来ない貧困者・不定住者は、民俗的なシャーマンを信頼している。これらがエチオピア人の健康状態を変えてしまっているのも事実である。その反面、ヨーロッパ諸国の医療機関からは、医療用品や寄付が行われている。そして、先進国は自国の援助の評価をホームページ上で公開している。しかし、現地の人々はその医療用品を上手く使いこなせないのか、或いは私たちと一緒に仕事をしたくないのか、近代的な設備の大部分はまだ棚に置かれた状態だ。「エチオピアの医師が私たちのところで、経験を積める取組が出来ればと考えています。」とウルバーシェックは言葉を締めくくった。