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小児脳腫瘍の原因究明

Causes of brain tumors in children

良好な予後の患者の中には、放射線療法や化学療法に頼らない新治療の可能性を発見

マサリク大学医学部研究者、カレル・ジテルバト(写真・左)とヤロスラフ・シュテルバ(写真・右)が脳腫瘍の原因の一部を明らかにしました。

小児脳腫瘍、いわゆる髄芽腫がどのように発生するか、マサリク大学の医学部の研究者が発見に貢献しました。腫瘍の約5%で腫瘍増殖を引き金とする遺伝子のメカニズムを発見したのです。この発見は、権威あるNATURE誌にも掲載されました。

「この発見に留まることなく、さらなる研究を重ねることで、我々の髄芽腫における生物学の知識を増やし、患者の治療を著しく合理化できる。」とマサリク大学医学部小児腫瘍学のヤロスラフ・シュテルバ副学長は語ります。

ブルノの医師は、長年大規模な髄芽腫の国際チームの一員として調査をしています。これは非常にまれな腫瘍であるため、「ブルノでは毎年、この腫瘍を患っている子供を診断しています。治療法の探究のためには、多くの症例が必要である。」とカレル・ジテルバトは論文で述べています。

 

髄芽腫の診断を受けた患者の3分の2は10歳未満の幼児です。髄芽腫は、後頭部にある小脳にでき、約7%の子供たちは遺伝性腫瘍疾患であり、手術後、約70パーセントの脳腫瘍患者が生存しています。

「しかし大きな問題は、子供たちの今後の人生だ。施した治療は、損傷した聴覚、肝臓機能やIQの減少を含む深刻な後遺症が残る。」とシュテルバは述べます。

治療は手術、放射線療法と化学療法の両方が用いられます。治療法を決める際に重要なのは、患者がどれほど深刻な状態なのか、発症の頻度や移転の可能性があるか、治癒後に改善する見込みがあるかを見極めることです。

「今まで培ってきた従来の専門的な知識のおかげで、患者の治療を個別化することができ、予後が良好な患者には、放射線治療や化学療法の量を減らすことが可能になった。放射線治療は、ほとんど行なう必要がなくなっている。予後が非常に悪い患者には、必要であれば標的療法によって、より集中的な治療をすることができる。」とジテルバルトは話します。

現在、マサリク大学医学部の研究所では、海外からの研究チームと共に新しい世代の治療プロトコールも準備が進んでいます。このような病気の子供たちのため、日常の臨床診療の中でも、髄芽腫のメカニズムについて最新の治療法を探究するため、日々、研究が進められています。