イギリスの小児科で働くマサリク大学の卒業生
Former MU international student now treats children in the UK
Natasha Mazumder(ナターシャ・マズンダー)が、海外の医学部の一つであるマサリク大学のことを初めて知ったのは、イギリスで小児科医として働く父親からでした。ナターシャの父親は、一緒に働くマサリク大学出身の同僚医師らがとても優秀だったことから、自分の娘にも受験を勧めたのです。
実際に、マズンダー親子が初めてマサリク大学のキャンパスを訪れたのは、8年前の入学試験のときでしたが、ナターシャは、当時のことを次のように振り返っています。「私はヨーロッパの医学部をいくつか受験しましたが、ブルノの街とマサリク大学を訪れたとき、自分が勉強する場所はここだとすぐに確信しました。沢山の学生と若者であふれ、何か新しいことを予感させるブルノの街に一目惚れしてしまったのかもしれませんが、なによりオープンキャンパスで、マサリク大学の図書館や教室、研究施設を見学したとき、その施設の素晴らしさにものすごく感銘を受けたことをおぼえています。」
その後、6年という年月が経ち、ブルノとマサリク大学は、ナターシャの第二の故郷となりました。当時、ナターシャは、大学寮に住んでいましたが、そこには、チェコ人学生だけでなく、短期の交換留学生もいたので、寮生活を通じて世界中の人々と交流を図ることができました。そして、その交流は今も続いています。
将来の夢は小児科医になること。
ナターシャにとって6年間の医学部の卒業は、医師としてのほんの始まりに過ぎませんでした。というのも、専門医の資格を得るためには、あと10年という年月がかかるからです。
ナターシャは卒業後、まず、ロンドンにあるThe Royal Free Hospitalのリウマチ科で6カ月間、筋骨格疾患や筋骨格障害をもつ成人患者の診療に従事しました。そして、小児科医としての道に進むため、病院内に様々な診療科を併設するイギリス南部のサウサンプトンにあるChildren’s Hospitalに移りました。「私は、長年、子供のために働きたいと思ってきました。ただ、小児科医というのは、その専門性を求められるだけでなく、子供に合わせた言葉遣いやコミュニケーション、説明能力も求められます。大変な仕事ですが、それでも、子供やその家族のために働くことに生きがいを感じます。」
ナターシャは、最初は、整形外科で経験を積み、現在は、小児科でサウサンプトンと南東イングランド全域の未熟児や病気の新生児を受け入れている集中治療室での6カ月の研修を終えようとしています。「ここの集中治療室には新生児用のベッドが36床あり、新生児の中には、26週で身長わずか数十センチという未熟児で生まれてくるケースもあります。未熟児として生まれながらも、集中ケアの保育器の中で徐々に成長していく姿を目にすると、本当に感動します。」と、語ってくれました。
ここでは、9人の医師と15人~18人の看護師が1つのチームとなり、12時間の交代制で新生児の集中ケアにあたっています。この専門チームでは、総合的な治療が必要となるため、外科、遺伝学、内分泌障害および神経学などの専門家が密接に連携して新生児の治療にあたっています。
「医師としての仕事は忙しく自由な時間もほとんどありませんが、私の夢は変わらず小児科医になることです。患者の気持ちを和らげ、笑顔を取り戻せる治療ができたら、私にとって、それ以上の喜びはありません」とナターシャは、熱く語ってくれました。
(ナターシャ:二列目の左から2番目)
2016年6月中旬、マサリク大学は、英語の医学部と歯学部の合同同窓会をはじめて開催しました。ナターシャは、忙しい中で時間をつくり、教授や同級生に再会するためにブルノを訪れ、次のように締めくくりました。
「卒業後に、色々な国に渡って働いている私たちが一同に集まることは簡単ではありません。しかし、前途有望な医師としての道を歩み始めている多くの同級生らと再会し、お互いの成長を感じられたことが、私にとってなによりも良い刺激となりました。」
マサリク大学医学部の英語プログラムは、留学生を迎えてから今年で20年になり、今では、350名の卒業生が世界中で活躍しています。