マサリク大学では子供のための新しい抗腫瘍ワクチンを開発しています。(医学部留学)
University is testing new antitumour vaccine for children
臨床試験は20人の患者を対象に計画されています。これまで、チェコ共和国と他国からの7人の子供が研究に参加しています。
マサリク大学医学部の専門家は、小児の固形腫瘍治療の成功率を向上させる新しいワクチンを開発しました。薬理学科で製造された薬は、すでに臨床試験で2人の患者に投与されています。薬剤の安全性と有効性を検証することを目的としたこの初期研究の結果は、2017年8月頃に検証される予定です。
このワクチンは、免疫療法の一部として使用され、小児がんの標準治療とも併用されます。 「このワクチンの開発は小児治療にとって大きな躍進を意味し、標準治療ではあまり効果がなかった患者も助けられる可能性が期待できます。このワクチンが患者自身の免疫システムと腫瘍との戦いを助ける役割を果たせる可能性を秘めています。」と、マサリク大学医学部の小児腫瘍学科副学長Jaroslav Štěrba(ヤロスラフ・シュチェルバ)は述べています。
薬は、細胞治療のための薬物制御研究所によって認証された無菌室で準備されています。医師はまず、子供の腫瘍の一部、および彼らの白血球の一部を採取した後、得られたワクチンが腫瘍に対する免疫反応を活性化させる様、両方のサンプルを培養します。」と、マサリク大学薬理学部のReginaDemlová(レギナ・デムロヴァ―)氏は研究手順について語ります。
現在、臨床試験は20人の患者のために遂行されています。これまでに、チェコ共和国とその他の国から7人の子供が研究に参加しています。臨床研究に適した患者は、ワクチンの安全性および有効性を検証するため、非常に慎重に選抜されています。選ばれた患者は、腫瘍と繰り返し診断され、標準的な治療法が有効でない子供が主です。」とŠtěrba(シュチェルバ)さんは話します。臨床試験に選ばれた子供たちには、それぞれに専門家医が医学部キャンパスにある研究所で個別にワクチンを用意しています。
これまでの研究のおかげで、研究チームは3年間で新しいワクチンを開発することができました。研究開発は、研究、実験開発、革新を目的とした国家予算支出から教育省により資金提供され実現しました。全体的な費用は、マサリク大学によって整備された無菌室の再建を含め、2,000万コルナに達しました。ブルノの大学附属病院とマサリク大学記念がん研究所もこの研究に参加しています。
子供たちの腫瘍の治療において大きな進歩がみられているとは言え、小児治療は製薬会社の注目の対象ではないことから、過去10年間においてその進歩は減速してきました。「免疫療法は現在、成人の腫瘍学において重視される点であり、腫瘍を持つ多くの成人の生存率を改善しています。しかし、小児における新薬の試験は大幅に遅れているというのが現実です。」とŠtěrba(シュチェルバ)氏は話し、“小児がんを見直す日”の一環として、現在の状況を欧州議会でも議論したと加えて語りました。