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大学と研究機関そして病院と国が一体となってコロナに立ち向かう

コロナウィルスの研究に不可欠な化学薬品の不足が続く中、マサリク大学の専門家はウィルスの遺伝子情報を分離する新しい方法を開発しました。

3月の最終日、マサリク大学医学部の付属機関であるCEITEC(中央ヨーロッパ研究所 Central European Institute of Technology)はブルノの大学附属病院のウィルス検体集積テントに集められたコロナサンプルのテストを開始し、地域での検査力を一日数百サンプルまで拡大しました。

コロナ臨床サンプルの検査は、マサリクCITEC内の分子・遺伝子診断を専門的に行う認定ヘルスケアラボを運用する分子医療センターで行われます。しかしテストを始めるにあたって、ボリス・ティフィ率いるチームは、検査に必要なウィルスのRNAを分離するための化学物質が納品されるのを待たなければなりませんでした。

検査ではウィルスの遺伝子情報を分離することが第一のステップとなります。専門家は患者のサンプル内にウィルスの存在を検出するために、一連の化学物質を用いてウィルスを破壊し、遺伝情報を内包するRNAを分離します。しかしこのようなウィルスのRNAを分離するための特別なキットはあるのですが、現状その配達には長い時間がかかるため、CEITECとマサリクの研究者は独自の分離手法の開発に着手したのです。

「3月の最終週末に、私たちは大学付属病院から送られてきた80サンプルに対して我々の手法が有効かを検証するため並行してテストを行いました。その中にはチェコリサーチ研究所と共同で成功裏に検証されたRNA分離手法も含まれています。3月の終わりからは検体採集テントから送られてくるいくつかのサンプルの検査が始まっています。大学としてサンプルの採集を行うことはできませんが、独自に検査を行うことで医療現場での過剰な負荷を減らすことができるのです。」チームリーダーであるボリス・ティフィは言いいます。

大学のデータベースが薬品の不足を補う

しかしながら、チェコ国内全土においてコロナウィルスSARS-CoV-2の検査を担う研究所は依然、化学薬品の不足に苦しんでいます。そのためマサリク大学は新たにデータベースを開発し、検査に必要な化学薬品を在庫している研究所と企業をリスト化し、検査に必要なノウハウと設備を備えたラボに提供することでこの問題への取り組みを支援しています。

「このプロジェクトのデータベースは、チェコ国内の診断を横断的にコーディネートする国立衛生研究所によってサポートされており、専門家と必要な設備があり検査の準備が整っている研究所に向けて化学薬品の移送をスピードアップすることができます。」マサリク大学で調査、研究を担うシャールカ・ポスピシロア副学長は言います。彼女は同時に、大学附属病院と医学部の共同部門である内部血液・腫瘍クリニックセンターの分子生物・遺伝子治療センターのトップでもあります。

チェコでは非常事態宣言が続く中、このように国と大学、研究機関そして附属病院が一体となってコロナウィルスの脅威に立ち向かっています。