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マサリク大学は国家レベルで医療IT研究のリーダーを目指しています。

マサリク大学は、新しい学長であるマーティン・バレシュ氏のもと、今やチェコだけではなくヨーロッパ全体にとって重大かつ喫緊の課題である高齢化の問題へ取り組むことを宣言しました。

先端情報技術によって「ソサエティ4.0」の時代が来ようとしています。マサリク大学はこの第4次産業革命というべきトレンドのニーズに応えつつ、高齢化の問題に取り組むことを目指しています。

「人口統計をみれば、高齢化が進んでいることは明らかです。しかし調査によれば、年老いて体が動かなくなってきたとしても、介護施設に移るより自宅で今までと同じ暮らしをしたいと望む高齢者が増加しているのです。」と、バレシュ学長は語っています。

学長は、社会のニーズに応えるためには、介護施設を建設するという大規模なプロジェクトではなく、デジタル化や人工知能を自宅での介護に役立て、高齢者やその周囲の人々が、普通の環境でより健康的に生活を送れるようにするほうが重要であると考えています。そのためには情報技術の活用が鍵となります。

マサリク大学医学部の副学部長であるアンドレア・ポコルナ氏は、次のように述べています。「人口年齢構成と社会のニーズの変化に対応するためには様々な学問の領域にわたる研究が必要です。そのひとつとして遠隔地から健康状態をモニターするために、情報通信技術と医療を結び付けるe-Healthの開発などがあります。またこのような先端技術に触れ、活用するための格差と障壁を取り除くことも大事です。」

「高齢化社会問題への挑戦は複雑です。」バレシュ学長は続けます。「この課題に取り組むためには、年金制度の改革といった経済的な側面も含めて取り組むことが必要となってきます。そのために、生命科学、社会科学、人文科学の専門家たちによる多面的なアプローチが必要なのです。」マサリク大学のエキスパートたちはITの可能性を追求し、医療分野だけでなく他の領域もとりこみながら、将来にわたって持続可能なヘルスケア政策や年金問題に取り組んでいこうとしています。

バレシュ学長は、高齢化社会問題への挑戦に向けて、個々の医療施設との協力はもとより、ブルノの街、さらに南モラヴィア州、そして政府機関から中央政府当局に至るまで協力関係を強化したいと考えています。このようにマサリク大学は、社会レベルで高齢化社会問題政策への立案プロセスに深く関与し、単なる教育機関の枠を超え国家レベルのリーダーを目指しているのです。

日本でも大きな課題である高齢化社会問題に、チェコから大きな示唆がもたらされるかもしれません。皆さんもその現場に立ち会ってみませんか。